日本語の文字コードというのが、コンピュータが使われるようになってからのいろんな経緯と絡んでなかなか複雑で、今はそれほどでもなくなりましたが、メールやウェブサイトの文字化けに悩まされることもよくありました。統一化が進んでいるといっても、まだ道半ばでそういう課題がすっかり解消されたというわけではありません。

 例えば、JISコードは第1水準から第4水準まで段階的に拡充されてきて、これが約1万字登録されているそうです。コンピュータ用ではなく、日常的にわれわれが使う漢字を規格化した常用漢字は、2010年の改定で2136字が指定されています。常用漢字以外に実際に使用するものとしてJISがこれだけの漢字を登録しているのはそれが実際にわれわれの生活に直結しているからで、最近では、「焼酎」の扱いが変わった例がありました。

 どういうことかといいますと、「焼酎」の「酎」の字は従来常用漢字に入っていませんでした。それで、酒の製造や販売に関するルールを定めた酒税法では、これを「しょうちゅう」と仮名書きで記載していました。先の改定によって「酎」が晴れて常用漢字に仲間入りしましたので、酒税法も、今後は「焼酎」と記載する、と改められています。新聞の漢字の扱いなんかを見てもこういう例はけっこうあるようです。

 それは決まりごとの世界で、普通は日常生活に大きな影響はないのですが、仕事上しばしば悩まされるのが人名漢字の問題。異体字や何かがあり、ワープロで表示できない漢字にぶつかることは珍しくありません。というのも、申請書類を作成するという稼業の性質上、これを避けて通れない。で、パソコンで入力できないものは、空欄にしておいて、印刷後手書きするというような面倒な手間をかけたりします。JISで1万字あっても足りない。

 どのくらい足りないかといえば、IPA(独立行政法人情報処理推進機構)がそうした人名漢字を中心に、行政機関で不便がないようにするために検証したところ、6万字必要という計算になったらしい。一例を挙げると、「渡邊」の「邊」の字は、異体字がほかに15字もあるそうです。IPAはこれらのコード化に取り組み、それをIPAmj明朝フォントに実現しています。そして先頃、これらがすべて、文字コードの国際規格である「ISO/IEC 10646」に反映されたという報道がありました。

 日々行政関係の文書と格闘する身にとっては吉報で、これで人名漢字で悩まされずにすむ日が来るかも。とはいうものの、パソコン側の対応の問題もあるのでそう手放しでは喜べないようです。現在のパソコンはJIS規格に基づいた文字コードを扱うような設計になっていますが、6万字を扱うには、IVSという新しい規格に対応しないといけないのだとか。IPAのQ&Aによりますと、MS Officeと一太郎は対応済みだそうです。利用の仕方など、これから追々確かめてみたいと思います。