昨年12月に「住宅宿泊事業法施行要領(ガイドライン)」が出ています。住宅宿泊事業の細部にわたるアウトラインがこれによって明確になっていますので、他の法令と併せて要点を整理しておきます。

住宅宿泊事業の対象となる住宅

 まず住宅の定義について。住宅宿泊事業法でいう住宅は、つぎの二点を満たすものというのが原則です。

  1. その家屋内に、台所、浴室、便所、洗面設備その他のその家屋を生活の本拠として使用するために必要な設備が設けられているもの
  2. 現に人の本拠として使用されている家屋、あるいはそれまでの入居者の賃貸借の期間が満了した後に新たな入居者が募集されている家屋で、人の居住の用に供されていると認められるものであること

 1の設備要件については、ここに挙げられた台所、浴室、便所、洗面設備が整っていることが求められていますが、これらの設備は必ずしも一つの棟に設けられている必要はなく、同じ敷地内の建物で一体的に使用する権限があり、各建物に設けられた設備がそれぞれ使用可能な状態であれば、複数棟の建物を一つの「住宅」として届け出ることは差し支えないとされています。例えば、母屋と離れに設備が分かれているときに、これらを一つの「住宅」として届け出る場合が該当します。

 2の、「人の居住の用に供されていないと認められるもの」については、次のいずれかに該当するもので、事業の用に供されているものでないこととされています。

  1. 現に人の生活の本拠として使用されている家屋
  2. 入居者の募集が行われている家屋
  3. 随時その所有者、賃借人又は転借人の居住の用に供されている家屋

また、「現に人の生活の本拠として使用されている家屋」とは、現に特定の人の生活が継続して営まれている家屋とされています。

住宅宿泊事業の日数制限

 「住宅宿泊事業」については、宿泊させる日数について制限があり、一年間に180日を超えないものであることとされているのが、一つの留意点になるでしょう。

 この日数の算定については、「毎年4月1日正午から翌年4月1日正午までの期間において人を宿泊させた日数とする。この場合において、正午から翌日の正午までの期間を一日とする」とされています。

 なお、この宿泊日数は住宅宿泊事業の届出をした住宅を単位として算定するものとされ、該当する住宅について住宅宿泊事業者に変更があった場合でも、該当の住宅について前後の事業者の宿泊数を通算するとしています。また、届出住宅を単位として算定しますので、同じ日に複数のグループが宿泊したとしても、それは一日として算定されます。

住宅宿泊管理業務について

 住宅宿泊管理業務とは、住宅宿泊事業の適切な実施のために必要な届出住宅の維持保全を行なう業務です。ここにいう「届出住宅の維持保全」の具体的内容については、「人が居住し日常生活を営むために必要な機能を維持する必要がある」ことをふまえ、次の考え方が示されています。

届出住宅に設ける必要がある台所、浴室、便所、洗面設備が正常に機能するものであるほか、人が日常生活を営む上で最低限必要な水道や電気などのライフライン、ドアやサッシ等の届出住宅の設備が正常に機能するよう保全することが必要である。また、空室時における施錠の確保や、住宅又は居室の鍵の管理も届出住宅の維持保全に含まれる。

住宅宿泊事業者の住宅管理業務の委託

 住宅宿泊事業者は、次のいずれかに該当する場合は、住宅宿泊管理業務を住宅宿泊管理業者に委託しなければならないとされています。

  1. 届出住宅の居室の数が、一の住宅宿泊事業者が各居室に係る住宅宿泊管理業務の全部を行ったとしてもその適切な実施に支障を生ずるおそれがないものとしてべつに定める居室の数を超えるとき。
  2. 届出住宅に人を宿泊させる間、不在となるとき。

 住宅宿泊事業者が住宅宿泊管理業者を兼ねる場合は自ら管理業務を行なうこともできるわけですが、そうでない場合、上の1については居室の数が、5を超えるときとされています。

 また、2の「不在となるとき」については、日常生活を営む上で通常行われる行為に要する時間の範囲内の不在を除くほか、その不在が、「住宅宿泊事業者が自己の生活の本拠として使用する住宅と届出住宅との距離その他の事情を勘案し、住宅宿泊管理業務を住宅宿泊管理業者に委託しなくてもその適切な実施に支障を生ずるおそれがないと認められる場合」を除くとして、ガイドラインに、次のいずれにも該当する場合を具体的に示しています。

  1. 住宅宿泊事業者が自己の生活の本拠として使用する住宅と届出住宅が、同一の建築物内若しくは敷地内にあるとき又は隣接しているとき(ただし、住宅宿泊事業者がその届出住宅から発生する騒音その他の事象による生活環境の悪化を認識することができないことが明らかであるときを除く)。
  2. 届出住宅の居室であって、それに係る住宅宿泊管理業務を住宅宿泊事業者が自ら行うものの数の合計が5以下であるとき。

 また、住宅宿泊事業者が、届出住宅の住宅宿泊管理業務を住宅宿泊管理業者に委託する場合は、一事業者に委託しなければならず、業務を複数の事業者に分割して委託したり、業務の一部を住宅宿泊事業者が行なうようなことは認められません。ただし、住宅宿泊管理業者がその委託業務の一部を他の事業者に再委託することまでは制限していません。

 なお、住宅宿泊管理業務の委託は契約書(管理受託契約)によってその業務の範囲等を明確にする必要があります。

住宅宿泊事業者の定期報告

 住宅宿泊事業者は、届出住宅について、つぎの事項を、偶数月の15日までに都道府県知事に報告しなければならないとされています。

  • 届出住宅に人を宿泊させた日数
  • 宿泊者数
  • 延べ宿泊者数
  • 国籍別の宿泊者数の内訳

条例による規制

 住宅宿泊事業については、周辺地域への配慮などに関して地域性等の事情に考慮して、次のような自治体による対応を認めています。

都道府県(または保健所設置市等)は、住宅宿泊事業に起因する騒音の発生その他の事象による生活環境の悪化を防止するため必要があるときは、合理的に必要と認められる限度において、区域を定めて、住宅宿泊事業を実施する期間を制限することができる。

 すなわち、住宅宿泊事業の宿泊数を一年間に180日以内とするという規定を条例によって制限することができるというものですが、これについては次のような基準が示されています。

  • 制限は、区域ごとに、住宅宿泊事業を実施してはならない期間を指定して行うこと。
  • 住宅宿泊事業を実施する期間を制限する区域の指定は、土地利用の状況その他の事情を勘案して、住宅宿泊事業に起因する騒音の発生その他の事象による生活環境の悪化を防止することが特に必要である地域内の区域について行うこと。
  • 住宅宿泊事業を実施してはならない期間の指定は、宿泊に対する需要の状況その他の事情を勘案して、住宅宿泊事業に起因する騒音の発生その他の事象による生活環境の悪化を防止することが特に必要である期間内において行うこと。

 ガイドラインでは、住宅宿泊事業法は、全国的に原則となるルールを作り、民泊の普及を図ることを趣旨とするものなので、「事業の実施そのものを制限するような過度な制限を課すべきでない」として、制限を行なう区域と期間について、合理的な必要が認められる範囲であるように求めています。

 この規定にかかる制限については、すでに条例を設けている自治体や検討している自治体もあるようです。

 住宅宿泊事業法ガイドラインを参考にして、この事業の要点をピックアップしてみましたが、ガイドラインは住宅宿泊事業を営むうえで、その細部にわたる原則を示したものであり、この事業への参画を検討する場合には、制度を知る基準として欠かせないものとなっています。特に、住宅宿泊事業者(または住宅宿泊管理業者)が行なうべきいくつかの措置等については、事業者の遵守事項として重要ですから、べつに書き留めます。