6月に施行される住宅宿泊事業法によって民泊の新たな制度がスタートします。民泊は、これを直接行なう住宅宿泊事業者、その委託を受けて届出住宅を維持保全する住宅宿泊管理業者、利用者と住宅宿泊事業者の間を仲介する住宅宿泊仲介業者の3事業者によってそれぞれのサービスが提供されることになります。

住宅宿泊事業者は、いってみればこの事業の主体になりますので、その行なうべき業務や措置が法律によってつぎのように列挙されています。なお、住宅宿泊事業者が住宅宿泊管理業務を住宅宿泊管理業者に委託する場合は、委託を受けた住宅宿泊管理業者がこれらに対応することになります。

  • 宿泊者の衛生の確保
  • 宿泊者の安全の確保
  • 外国人観光客である宿泊者の快適性及び利便性の確保
  • 宿泊者名簿の備付け等
  • 周辺地域の生活環境への悪影響の防止に関し必要な事項の説明
  • 苦情等への対応

これらの法律の規定について、12月に出たガイドライン(住宅宿泊事業法施行要領)等によってさらに詳しい要領が示されていますので、それを整理しておきます。

宿泊者の衛生の確保

住宅宿泊事業者は、届出住宅について、各居室の床面積に応じた宿泊者数の制限、定期的な清掃その他の宿泊者の衛生の確保を図るために必要な措置を講じなければならないこと。

居室の床面積については、宿泊者一人当り3.3平方メートルを確保することとされています。床面積は、宿泊者が専有する部分の面積で、そうでない台所、浴室、便所、洗面所等は含みません。

また、居室については定期的に清掃及び換気を行なうことが求められます。居室の除湿に心がけるとともに、シーツ、カバー等は常に清潔なものを提供することに加え、感染症等の発生あるいはその疑いがあるときは保健所に通報するほか必要な措置を講じることが求められます。

宿泊者の安全の確保

住宅宿泊事業者は、届出住宅について、非常用照明器具の設置、避難経路の表示その他の火災その他の災害が発生した場合における宿泊者の安全の確保を図るために必要な措置を講じなければならないこと。

これについては、非常用照明器具を設置すること、避難経路を表示することが求められています。また、届出住宅が消防法令に適合することを担保する趣旨から、住宅宿泊事業者の届出時に必要な書面によってこれを担保することとしています。

必要な措置等の詳細については、国土交通省から、「民泊の安全措置の手引」も出ています。また、消防法施行規則等についても、住宅宿泊事業法の施行、旅館業法施行令の一部改正に合わせた改正が予定されています。

外国人観光旅客である宿泊者の快適性及び利便性の確保

外国人観光旅客である宿泊者に対し、届出住宅の設備の使用方法に関する外国語を用いた案内、移動のための交通手段に関する外国語を用いた情報提供その他の外国人観光旅客である宿泊者の快適性及び利便性の確保を図るために必要な措置を講じなければならないこと。

講じなければならない措置についてはつぎのようなものが示されています。

  • 外国語を用いて、届出住宅の設備の使用方法に関する案内をすること。
  • 外国語を用いて、移動のための交通手段に関する情報を提供すること。
  • 外国語を用いて、火災、地震その他の災害が発生した場合における通報連絡先に関する案内をすること。
  • そのほか、外国人観光旅客である宿泊者の快適性及び利便性の確保を図るために必要な措置

宿泊者名簿の備付け等

住宅宿泊事業者は、届出住宅その他のべつに定める場所に宿泊者名簿を備え、これに宿泊者の氏名、住所、職業その他の事項を記載し、都道府県知事の要求があったときは、これを提出しなければならないこと。

宿泊者名簿の保存期間は3年となっています。また、宿泊者名簿を備え置く場所は、届出住宅または住宅宿泊事業者の営業所・事務所になります。

宿泊者名簿の作成については、本人確認が欠かせませんが、想定される外国人観光客の利用についても、旅券による確認、宿泊者名簿に国籍・旅券番号などを記載することなどが求められています。

周辺地域の生活環境への悪影響の防止に関し必要な事項の説明

住宅宿泊事業者は、宿泊者に対し、騒音の防止のために配慮すべき事項その他の届出住宅の周辺地域の生活環境への悪影響の防止に関し必要な事項について説明しなければならないこと。

説明の方法については、書面の備え付けその他の適切な方法を講じることとされています。ガイドラインでは、必ずしも対面による必要はないとしつつ、居室に書面を備えるか、タブレット等の端末に表示するといった方法を講じるよう例示しています。

また、説明すべき必要な事項についてはつぎのようなものが掲げられています。

  • 騒音の防止のために配慮すべき事項
  • ごみの処理に関し配慮すべき事項
  • 火災の防止のために配慮すべき事項
  • その他、届出住宅の周辺地域の生活環境への悪影響の防止に関し必要な事項

これらについても、ガイドラインで具体的なその措置のしかたについて例示されています。例えば、騒音防止については、深夜に窓を閉めること、バルコニー等で宴会を開かないことなど、ゴミの処理については、分別等地域で定められた適切な方法によることなどがあります。

苦情等への対応

住宅宿泊事業者は、届出住宅の周辺地域の住民からの苦情及び問合せについては、適切かつ迅速にこれに対応しなければならないこと。

ガイドラインは、深夜早朝を問わず、常時、応対又は電話により対応する必要があるとするほか、宿泊者の行為による苦情が発生している場合の対応など基本的な考え方を列挙しています。

 

以上、6月に施行される住宅宿泊事業法による民泊の運営の要領について整理してみました。なお、民泊については、従来、旅館業法による簡易宿所としての運営があり、これも選択肢の一つとして残っていることはいうまでもありません。また、国家戦略特区において旅館業法の規制を緩和した運用も試みられています。

民泊は地域との関わりのなかでどのように運営されるのかが一つのネックになりそうな気がしますが、外国人観光客の増加等も見込まれる現状もあり適切な進展と充実が望まれるところです。