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紅麹とサプリメント

サプリメント類はあまり利用しないので、紅麹についても初耳でした。日本では古来、味噌や醤油などの醸造に麹が用いられています。日本酒もそうで、これらに用いられるのは主に黄麹だといいます。それと焼酎は黒麹とその後に開発された白麹で、紅麹はそれほど広く知られていたわけではないようです。中国では古くから用いられているそうで結構普及しているのかもしれませんが、これは麹菌を生む風土の違いがあるかもしれません。日本では着色料などに使われているようですが、黄麹などに比べこれまではそれほど一般的ではなかったのではないでしょうか。

それが近年になって、この紅麹にコレステロールを抑制する成分(モナコリンK)が含まれていることが見出され、サプリメントとして活用されるようになったとか。黄麹も紅麹もいうまでもなくカビの一種ですがその種類は全く異なるそうで、いずれにしても本来毒性を持たないからこそ人の口に入れる食品として広く利用されてきたはずなのにどうしたことかと腑に落ちない面もあります。

ただ、EUでは紅麹がその生成過程でカビ毒であるシトリニンを生じさせることが確認され、その基準値を定めるなどして警告を発していた例もあります。今回健康被害を出した紅麹にはそのカビ毒は見出せなかったとのことですから、今後の調査が明らかにすると思いますが、製造工程で予期しない何かが起きてしまったと思えます。

それはさておき、ドラッグストアの一角にサプリメントが位置を占めるほどになっていますが、そもそもサプリメントとはどういう位置づけになるのか、ふと疑問に思いました。辞書を引くと、サプリメントを栄養補助食品と説明しています。言葉としてはそうですが、昔から健康にいいからといって三度の食事とはべつに補助的に動植物や鉱物を利用している例はあります。問題はそれに科学的根拠があるかどうかだと思いますが、通常は医薬品や医薬部外品が一定の手続きを経て公認されるしくみにはなっていますが、サプリメントそのものは公式にはこれという制度がありません。サプリメントを含め私たちが日頃健康食品として認めているものについて、それを確証するのは一つには経験則もあるでしょうが、何より実証性がないと扱いにくい面はあります。

もちろん、いわゆる健康食品的な役割で流通するものの中に公的にそれを認可する制度はいくつかあって、それが消費者にとって判断を促す一つの基準にはなっているようです。制度としては、大きな区切りでは健康増進法が定める特別用途食品と食品表示法・食品表示基準に定める保健機能食品とがそれに当るでしょう。トクホのようなわりに知られていそうなものもありますが、法制度そのものが堅苦しくて近づきにくい一面もありますから、こういう機会に再確認しておいてもいいでしょう。