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電子書籍の使用感について

電子書籍を利用するようになったきっかけは、雑誌読み放題サービスだったような気がします。個人的には電子書籍の利用は確実に増えていますが、だからといって、紙の書籍はやめて、すっかりそっちに移行するというほどでもありません。電子書籍の利便性は今さらいうまでもないほどですが、不都合や疑問もあるので手放しで歓迎ともいえないのです。以下、個人的な感想です。

電子書籍にはつぎのようなメリットを挙げることができます。

  • スマホやタブレットに容量の許すかぎりの本を詰め込んで持ち運べること。言ってみれば本棚ごと携帯しているようなもので、旅行の時などは重宝します。
  • アプリにもよりますが、栞、書き込み、アンダーラインなどの機能があって、紙の本のように紙面をインクなどで汚さずにそれらができるのと、データとして保存しているので後で見返すのにも便利です。
  • 読みやすさという点では、フォントの大きさを自由に変えられるので、文庫本の小さな文字を読むような苦労はしなくて済みます。ページめくりについては、紙を捲るよりは楽な気がしますが、これもアプリ次第かもしれません。
  • 紙の本はどうしても紙そのものの劣化が避けられません。電子書籍は電子ファイルなのでファイルの維持に気をつければその心配はあまりありません。

電子書籍は使用感もまずまずで、なにより携帯して好きなときに読むことができるのが便利なのですが、一方で次のような不満や疑問があるのが悩ましい部分です。

  • 電子書籍はどうしても紙の本より目が疲れやすいように思います。それにスマホで読むのは活字だけならどうにかなりますが、雑誌類のように画像がある場合は無理があります。筆者はタブレット端末を多用していますが、電子ペーパーが開発されていますから、それだと目の疲れやすさはいくらか改善されるのかもしれません。
  • 現状ではすべての本が電子化されているわけではなく、紙の本でなければ手に入らないものも少なくありません。
  • 電子書籍は購入したからといって紙の本のようにそれが自分の所有物になるわけではないのに留意する必要があります。電子書籍ファイルはその販売者(Amazonや楽天など電子書籍を販売している事業者)と紐づいていて、販売者が提供するアプリでないと読むことができません。電子書籍はその販売者との利用契約に基づいて購読が認められるので、ユーザー登録を解除するとせっかく購入した電子書籍へのアクセスができなくなってしまいます。
  • 価格面では電子書籍も紙の本もあまり変わらないように見えます。電子書籍が上に書いたように本の売買とは異なる取引だとするとこれはどうなのだろうという疑問が湧きます。尤も、電子書籍はときおり紙の本では滅多に見られない割引価格によるセールが行なわれているのを見ます。そういえば、紙の本には読み古した古本の廉価な流通がありますが、これは電子書籍には見られない違いです。

紙の本との最大の違いは所有権の問題にありそうに思えます。ユーザー登録の解除によるほか、販売者が倒産するなどして電子書籍のサービスを廃止した場合にも購入した電子書籍は読めなくなってしまいます。過去には、べつの販売者にサービスの移管を行なった例もあるようですが、それが必ず保証されるわけではありません。

ファイル形式については標準化の模索もされているようですが、独自のファイル形式を使用している販売者もありますから、そういう面でも課題はありそうです。電子書籍には、紙資源の枯渇への配慮という視点もあるように聞きますから、今後こうした課題は徐々に解消されると思いますが、個人的には紙の本の魅力も捨てがたいのでケースバイケースで併用することになりそうです。