建設業の技術者に関する令和6年改正

昨年6月に、建設業法と公共工事の入札及び契約の適正化の促進に関する法律(入契法)の改正がありました。

今回の改正の骨子として以下を挙げることができます。

  1. 労働者の処遇改善
  2. 資材高騰に伴う労務費へのしわ寄せ防止
  3. 働き方改革と生産性向上

このうち3の働き方改革と生産性向上の分野で、建設業の技術者に関する取り扱いの変更(令和6年12月施行)がありますので、それを見ておきます。次の2点の改正があります。

■ 監理技術者等の専任義務の合理化

公共性のある建設工事の現場では、配置しなければならない主任技術者または監理技術者は専任でなければならないというのが従来の規定ですが、一定の場合はこれに限らないこととされました。

すなわち、次の条件下で兼務が認められることとなります。ただし、兼務できるのは二箇所までとされています。

  • 建設工事の請負代金が一億円(建築一式工事は二億円)未満であること。
  • 工事現場間の移動時間または連絡方法などが一定の要件に適合すること。
  • 工事現場の状況の確認その他の職務を情報通信技術を利用する方法で行なうための措置が採られていること。
  • 監理技術者については、一定の条件を満たすその職務を補佐する者を専任で配置する場合

    (これらの具体的な適合要件は政省令によって示されています)

■ 営業所技術者等に関する監理技術者等の職務の特例

建設業の許可を受ける場合の要件の一つに、「その営業所ごとに、営業所技術者(特定建設業では特定営業所技術者)を専任の者として置く者であること」とあります。

営業所技術者(特定営業所技術者)は営業所に専任ですから、工事現場の主任技術者や監理技術者とは異なります。これについて見直しがありました。

今回の改正で、この営業所専任の技術者について、特定の場合に工事現場に配置する主任技術者または監理技術者の職務を兼務することができる、とされました。

兼務できるのは工事現場一箇所にかぎり、工事の請負金額が一億円(建築一式工事は二億円)未満であることのほか、前項に示した移動時間または連絡方法、情報通信技術の利用などの要件が定められています。

いわゆる専任技術者の専任性について見直しが行なわれたことになります。