前の投稿で、昨年施行された建設業法の改正について、経営業務の管理責任者の要件緩和と承継手続きの創設について触れました。経営業務の管理責任者は建設業の許可要件の一つですが、近年少しずつ変更された部分がありますので、昨年10月施行時の許可の基準を再確認しておきます。許可要件についての規定は次のような構成になっています。

  • 一般建設業の許可の基準:建設業法第7条
  • 特定建設業の許可の基準:建設業法第15条
  • 双方に適用される不許可要件:建設業法第8条

 特定建設業というのは、「発注者から直接請け負う一件の建設工事につき、その工事の全部又は一部を、下請代金の額(その工事に係る下請契約が二以上あるときは、下請代金の額の総額)が四千万円(建築工事業である場合においては、六千万円)以上となる下請契約を締結して施工しようとするもの」で、それ以外は一般建設業になります。
 第7条の一般建設業の許可の基準は次のとおりです。

■一般建設業の許可の基準

第七条 国土交通大臣又は都道府県知事は、許可を受けようとする者が次に掲げる基準に適合していると認めるときでなければ、許可をしてはならない。

  1. 建設業に係る経営業務の管理を適正に行うに足りる能力を有するものとして国土交通省令で定める基準に適合する者であること。
  2. その営業所ごとに、次のいずれかに該当する者で専任のものを置く者であること。
    1. 許可を受けようとする建設業に係る建設工事に関し学校教育法(昭和二十二年法律第二十六号)による高等学校(旧中等学校令(昭和十八年勅令第三十六号)による実業学校を含む。第二十六条の七第一項第二号ロにおいて同じ。)若しくは中等教育学校を卒業した後五年以上又は同法による大学(旧大学令(大正七年勅令第三百八十八号)による大学を含む。同号ロにおいて同じ。)若しくは高等専門学校(旧専門学校令(明治三十六年勅令第六十一号)による専門学校を含む。同号ロにおいて同じ。)を卒業した(同法による専門職大学の前期課程を修了した場合を含む。)後三年以上実務の経験を有する者で在学中に国土交通省令で定める学科を修めたもの
    2. 許可を受けようとする建設業に係る建設工事に関し十年以上実務の経験を有する者
    3. 国土交通大臣がイ又はロに掲げる者と同等以上の知識及び技術又は技能を有するものと認定した者
  3. 法人である場合においては当該法人又はその役員等若しくは政令で定める使用人が、個人である場合においてはその者又は政令で定める使用人が、請負契約に関して不正又は不誠実な行為をするおそれが明らかな者でないこと。
  4. 請負契約(第三条第一項ただし書の政令で定める軽微な建設工事に係るものを除く。)を履行するに足りる財産的基礎又は金銭的信用を有しないことが明らかな者でないこと。

 

 以下は、第15条の特定建設業の許可の基準です。基本の4項目から成ることは一般建設業と変わりません。

■特定建設業の許可の基準

第十五条 国土交通大臣又は都道府県知事は、特定建設業の許可を受けようとする者が次に掲げる基準に適合していると認めるときでなければ、許可をしてはならない。

  1. 第七条第一号及び第三号に該当する者であること。
  2. その営業所ごとに次のいずれかに該当する者で専任のものを置く者であること。ただし、施工技術(設計図書に従つて建設工事を適正に実施するために必要な専門の知識及びその応用能力をいう。以下同じ。)の総合性、施工技術の普及状況その他の事情を考慮して政令で定める建設業(以下「指定建設業」という。)の許可を受けようとする者にあつては、その営業所ごとに置くべき専任の者は、イに該当する者又はハの規定により国土交通大臣がイに掲げる者と同等以上の能力を有するものと認定した者でなければならない。
    1. 第二十七条第一項の規定による技術検定その他の法令の規定による試験で許可を受けようとする建設業の種類に応じ国土交通大臣が定めるものに合格した者又は他の法令の規定による免許で許可を受けようとする建設業の種類に応じ国土交通大臣が定めるものを受けた者
    2. 第七条第二号イ、ロ又はハに該当する者のうち、許可を受けようとする建設業に係る建設工事で、発注者から直接請け負い、その請負代金の額が政令で定める金額以上であるものに関し二年以上指導監督的な実務の経験を有する者
    3. 国土交通大臣がイ又はロに掲げる者と同等以上の能力を有するものと認定した者
  3. 発注者との間の請負契約で、その請負代金の額が政令で定める金額以上であるものを履行するに足りる財産的基礎を有すること。

 

 4項目のうち、第7条の第1号と第3号は特定建設業にもそのまま適用されます。第2号の技術者については、特定建設業の性格から、一般建設業よりも厳格な基準になります。財産的基礎についても同じです。

 次に不許可となる場合について第8条に定めています。一般建設業と特定建設業の別に関わりなく、虚偽の記載や重要な事実の記載が欠けている場合に加えて、1~14号の該当してはならない事項がありますので、これも事前に確認が必要です。

■不許可要件

第八条 国土交通大臣又は都道府県知事は、許可を受けようとする者が次の各号のいずれか(許可の更新を受けようとする者にあつては、第一号又は第七号から第十四号までのいずれか)に該当するとき、又は許可申請書若しくはその添付書類中に重要な事項について虚偽の記載があり、若しくは重要な事実の記載が欠けているときは、許可をしてはならない。

  1. 破産手続開始の決定を受けて復権を得ない者
  2. 第二十九条第一項第七号又は第八号に該当することにより一般建設業の許可又は特定建設業の許可を取り消され、その取消しの日から五年を経過しない者
  3. 第二十九条第一項第七号又は第八号に該当するとして一般建設業の許可又は特定建設業の許可の取消しの処分に係る行政手続法(平成五年法律第八十八号)第十五条の規定による通知があつた日から当該処分があつた日又は処分をしないことの決定があつた日までの間に第十二条第五号に該当する旨の同条の規定による届出をした者で当該届出の日から五年を経過しないもの
  4. 前号に規定する期間内に第十二条第五号に該当する旨の同条の規定による届出があつた場合において、前号の通知の日前六十日以内に当該届出に係る法人の役員等若しくは政令で定める使用人であつた者又は当該届出に係る個人の政令で定める使用人であつた者で、当該届出の日から五年を経過しないもの
  5. 第二十八条第三項又は第五項の規定により営業の停止を命ぜられ、その停止の期間が経過しない者
  6. 許可を受けようとする建設業について第二十九条の四の規定により営業を禁止され、その禁止の期間が経過しない者
  7. 禁錮以上の刑に処せられ、その刑の執行を終わり、又はその刑の執行を受けることがなくなつた日から五年を経過しない者
  8. この法律、建設工事の施工若しくは建設工事に従事する労働者の使用に関する法令の規定で政令で定めるもの若しくは暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律(平成三年法律第七十七号)の規定(同法第三十二条の三第七項及び第三十二条の十一第一項の規定を除く。)に違反したことにより、又は刑法(明治四十年法律第四十五号)第二百四条、第二百六条、第二百八条、第二百八条の二、第二百二十二条若しくは第二百四十七条の罪若しくは暴力行為等処罰に関する法律(大正十五年法律第六十号)の罪を犯したことにより、罰金の刑に処せられ、その刑の執行を終わり、又はその刑の執行を受けることがなくなつた日から五年を経過しない者
  9. 暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律第二条第六号に規定する暴力団員又は同号に規定する暴力団員でなくなつた日から五年を経過しない者(第十四号において「暴力団員等」という。)
  10. 心身の故障により建設業を適正に営むことができない者として国土交通省令で定めるもの
  11. 営業に関し成年者と同一の行為能力を有しない未成年者でその法定代理人が前各号又は次号(法人でその役員等のうちに第一号から第四号まで又は第六号から前号までのいずれかに該当する者のあるものに係る部分に限る。)のいずれかに該当するもの
  12. 法人でその役員等又は政令で定める使用人のうちに、第一号から第四号まで又は第六号から第十号までのいずれかに該当する者(第二号に該当する者についてはその者が第二十九条の規定により許可を取り消される以前から、第三号又は第四号に該当する者についてはその者が第十二条第五号に該当する旨の同条の規定による届出がされる以前から、第六号に該当する者についてはその者が第二十九条の四の規定により営業を禁止される以前から、建設業者である当該法人の役員等又は政令で定める使用人であつた者を除く。)のあるもの
  13. 個人で政令で定める使用人のうちに、第一号から第四号まで又は第六号から第十号までのいずれかに該当する者(第二号に該当する者についてはその者が第二十九条の規定により許可を取り消される以前から、第三号又は第四号に該当する者についてはその者が第十二条第五号に該当する旨の同条の規定による届出がされる以前から、第六号に該当する者についてはその者が第二十九条の四の規定により営業を禁止される以前から、建設業者である当該個人の政令で定める使用人であつた者を除く。)のあるもの
  14. 暴力団員等がその事業活動を支配する者

 

 以上をまとめると次のようになります。

  • 経営業務の管理責任者の基準に適合すること
  • 営業所ごとに専任の技術者を置くこと
  • 請負契約に関して不正又は不誠実な行為をするおそれがないこと
  • 財産的基礎(一般建設業では、または金銭的信用)があること
  • 許可申請書・添付書類に虚偽の記載または重要な事実の記載が欠けていないこと
  • 第8条の第1号から14号に該当しないこと

 上記の基準を満たすことによって、建設業の許可を受けることができます。それぞれの基準の詳しい内容については、施行規則などによって細かく定められています。行政書士は建設業許可申請の専門資格者として申請事務に従事していますが、相談を受ける場合には、まずこれらの基準を満たしているかの検討からはじめ、適合していることを確認した後にそれらを証明する添付資料などを用意して申請に着手することになります。