薬機法の広告規制

今年8月に施行された改正薬機法で課徴金制度が創設されました。薬機法には広告規制があり、罰則・罰金も規定されていますが、虚偽広告・誇大広告がしばしば問題視されることもあって課徴金制度の導入に到ったという背景があるようです。

そこでまず薬機法の広告規制について再確認し、その上で課徴金制度の内容を整理しておきたいと思います。長くなりそうですから、二回に分けることにして、まず広告規制について。

薬機法の広告規制は第66条から第68条に以下の項目が掲げられています。

  • 誇大広告等(第66条)
  • 特定疾病用の医薬品及び再生医療等製品の広告の制限(第67条)
  • 承認前の医薬品、医療機器及び再生医療等製品の広告の禁止(第68条)

このうちしばしば報道を賑わせるのが、誇大広告等に関する第66条違反で、次いで第68条の未承認医薬品等に関する事案もよく見受けます。

第66条の規定は次のとおりです。

第66条 何人も、医薬品、医薬部外品、化粧品、医療機器又は再生医療等製品の名称、製造方法、効能、効果又は性能に関して、明示的であると暗示的であるとを問わず、虚偽又は誇大な記事を広告し、記述し、又は流布してはならない。

2 医薬品、医薬部外品、化粧品、医療機器又は再生医療等製品の効能、効果又は性能について、医師その他の者がこれを保証したものと誤解されるおそれがある記事を広告し、記述し、又は流布することは、前項に該当するものとする。

3 何人も、医薬品、医薬部外品、化粧品、医療機器又は再生医療等製品に関して堕胎を暗示し、又はわいせつにわたる文書又は図画を用いてはならない。

この第1項が虚偽広告・誇大広告に関する規制の要諦に当たりますが、「何人も」とあること、「明示的」なものはいうまでもなく、「暗示的」な表現も許容されない点に留意すべきでしょう。

薬機法の広告規制の考え方については、「医薬品等適正広告基準」にそのガイドラインが示されており、例えば、対象となる広告については、「この基準は、新聞、雑誌、テレビ、ラジオ、ウェブサイト及びソーシャル・ネットワーキング・サービス等のすべての媒体における広告を対象とする」としています。

その具体的な運用については、「医薬品等適正広告基準の解説及び留意事項」によって明確にされていますので、これらが広告表現の検討に当たっての判断材料になるでしょう。

また、医薬部外品、化粧品については、「医薬部外品の効能効果の範囲」、「化粧品の効能の範囲」が発出されており、標榜する効能効果について許容される範囲が制限されていますので、これも念頭に置く必要があります。

たとえば医薬部外品は、下記のような特殊な位置づけの品目であり、その効能効果も医薬部外品の定義の領分に制限されるものです。

医薬部外品とは、次に掲げる物であつて人体に対する作用が緩和なものをいう。
一 次のイからハまでに掲げる目的のために使用される物であつて機械器具等でないもの
 イ 吐きけその他の不快感又は口臭若しくは体臭の防止
 ロ あせも、ただれ等の防止
 ハ 脱毛の防止、育毛又は除毛
二 人又は動物の保健のためにするねずみ、はえ、蚊、のみその他これらに類する生物の防除の目的のために使用される物(前項第2号又は第3号に規定する目的のために使用される物を除く)であつて機械器具等でないもの
三 前項第2号又は第3号に規定する目的のために使用される物(前二号に掲げる物を除く)のうち、厚生労働大臣が指定するもの

(「前項第2号又は第3号」は医薬品の目的に関する規定)

化粧品については、法律では次のように定義されていますが、化粧の概念が必ずしも特定できるものでないという疑念もあるかもしれません。それもあって、「化粧品の効能の範囲」、「医薬品等適正広告基準」によって明確な基準を設けていると言えますから、これらを基礎として適切な広告表現に配慮すべきでしょう。

化粧品とは、人の身体を清潔にし、美化し、魅力を増し、容貌を変え、又は皮膚若しくは毛髪を健やかに保つために、身体に塗擦、散布その他これらに類似する方法で使用されることが目的とされている物で、人体に対する作用が緩和なものをいう。

ちなみに、広告規制に関する罰則については、第85条に、「第66条第1項又は第3項の規定に違反した者」及び「第68条の規定に違反した者」を「2年以下の懲役若しくは200万円以下の罰金に処し、又はこれらを併科する」とあります。

新たな課徴金制度は、現実問題として現行の罰則規定ではなかなかその効果が見込めないという反省に立って、課徴金というこれまでにない方法で規制の実効性を企図するものといえます。