薬機法の課徴金制度

8月の法改正で、薬機法に課徴金制度が創設されました。薬機法は、医薬品・医療機器などの広告規制について定め、罰則・罰金なども設けていますが、しばしば報道されるように虚偽広告・誇大広告が後を絶たないことから、新たな制度によって誇大広告等に対処しようとするものです。そのあらましを見ておきます。

まず、課徴金については第75条の5の2で、「第66条第1項の規定に違反する行為(「課徴金対象行為」)をした者(「課徴金対象行為者」)があるときは、厚生労働大臣は、当該課徴金対象行為者に対し、課徴金対象期間に取引をした課徴金対象行為に係る医薬品等の対価の額の合計額に100分の4.5を乗じて得た額に相当する額の課徴金を国庫に納付することを命じなければならない」と規定しています。

広告規制の内容については、前回の記事(薬機法の広告規制)に書いていますが、課徴金の対象となる第66条第1項は誇大広告等に関する次の規定です。

第66条 何人も、医薬品、医薬部外品、化粧品、医療機器又は再生医療等製品の名称、製造方法、効能、効果又は性能に関して、明示的であると暗示的であるとを問わず、虚偽又は誇大な記事を広告し、記述し、又は流布してはならない。

すなわちほとんど社会問題化している虚偽広告・誇大広告を課徴金の対象として、これに違反した場合は、取引の対価の4.5%を課徴金として国庫に納付させるというのがその骨子です。

この課徴金については、上記の方法で計算した課徴金の額が225万円未満の時は納付命令から除外することに加え、つぎの減額規定も設けられています。

  • 景品表示法による課徴金納付命令を受けている場合は、対価合計額の3%分を減額する。
  • 課徴金対象行為に該当する事実があることを報告した場合は、対価合計額の50%分を減額する。

いずれも補足規定がありますがそれはべつにして、景品表示法における課徴金との関連も留意すべき部分でしょう。

景品表示法の課徴金に関する規定(「不当な表示の禁止」)は次のようになっています。

(不当な表示の禁止)
第5条 事業者は、自己の供給する商品又は役務の取引について、次の各号のいずれかに該当する表示をしてはならない。

一 商品又は役務の品質、規格その他の内容について、一般消費者に対し、実際のものよりも著しく優良であると示し、又は事実に相違して当該事業者と同種若しくは類似の商品若しくは役務を供給している他の事業者に係るものよりも著しく優良であると示す表示であつて、不当に顧客を誘引し、一般消費者による自主的かつ合理的な選択を阻害するおそれがあると認められるもの

二 商品又は役務の価格その他の取引条件について、実際のもの又は当該事業者と同種若しくは類似の商品若しくは役務を供給している他の事業者に係るものよりも取引の相手方に著しく有利であると一般消費者に誤認される表示であつて、不当に顧客を誘引し、一般消費者による自主的かつ合理的な選択を阻害するおそれがあると認められるもの

三 前二号に掲げるもののほか、商品又は役務の取引に関する事項について一般消費者に誤認されるおそれがある表示であつて、不当に顧客を誘引し、一般消費者による自主的かつ合理的な選択を阻害するおそれがあると認めて内閣総理大臣が指定するもの

そして、第5条に違反した場合は、「政令で定める方法により算定した売上額に100分の3を乗じて得た額に相当する額の課徴金を国庫に納付することを命じなければならない」としています。

薬機法と景品表示法はそもそも法律の目的・趣旨が異なりますから、場合によっては双方の規定に違反する例もあり得るということです。

昨今、医薬品の効能を偽った例や許可を受けていない製品に医薬品的な効能があるように標榜した例などが摘発されていることが新たな制度の創設を促したともいえるかもしれませんが、この改正では併せて、措置命令について規定を追加しています。

(違反広告に係る措置命令等)
第72条の5 厚生労働大臣又は都道府県知事は、第66条第1項又は第68条の規定に違反した者に対して、その行為の中止、その行為が再び行われることを防止するために必要な事項又はこれらの実施に関連する公示その他公衆衛生上の危険の発生を防止するに足りる措置をとるべきことを命ずることができる。

というもので、第72条の5は改正前には、第68条違反者に対して「中止命令」を行なう規定だったのが、第66条第1項も対象として「措置命令」に改めています。誇大広告等(第66条第1項)に関しては、課徴金と併せ都道府県知事にも権限のある措置命令を規定したことで、課徴金制度を補完するものとしており、新制度のもう一つのポイントと言えそうです。