古物営業には、古物商、古物市場、古物競りあっせん業があります。これらの営業を行なうには、古物営業法に基づく許可や届出が必要です。
古物営業の対象になる古物とは、一度使用された物品もしくは使用されない物品で使用のために取引されたもの又はこれらの物品に幾分の手入れをしたものをいいます。古物には、鑑賞的美術品及び商品券、乗車券、郵便切手その他政令で定めるこれらに類する証票その他の物を含み、大型機械類でべつに定めるものは除かれます。
古物営業の許可に当たっては、古物を次のように区分しています。
- 美術品類(書画、彫刻、工芸品等)
- 衣類(和服類、洋服類、その他の衣料品)
- 時計・宝飾品類(時計、眼鏡、宝石類、装身具類、貴金属類等)
- 自動車(その部分品を含む)
- 自動二輪車及び原動機付自転車(これらの部分品を含む)
- 自転車類(その部分品を含む)
- 写真機類(写真機、光学器等)
- 事務機器類(レジスター、タイプライター、計算機、謄写機、ワードプロセッサー、ファクシミリ装置、事務用電子計算機等)
- 機械工具類(電機類、工作機械、土木機械、化学機械、工具等)
- 道具類(家具、じゅう器、運動用具、楽器、磁気記録媒体、蓄音機用レコード、磁気的方法又は光学的方法により音、影像又はプログラムを記録した物等)
- 皮革・ゴム製品類(カバン、靴等)
- 書籍
- 金券類(商品券、乗車券及び郵便切手並びにべつに規定する証票その他の物)
古物に含まれる「証票その他のもの」とは、以下に掲げるものをいいます。
- 航空券
- 興行場又は美術館、遊園地、動物園、博覧会の会場その他不特定かつ多数の者が入場する施設若しくは場所でこれらに類するものの入場券
- 収入印紙
- 金額が記載され、又は電磁的方法により記録されている証票その他の物であって、次に掲げるもの
イ 乗車券の交付を受けることができるもの
ロ 電話の料金の支払のために使用することができるもの
ハ タクシーの運賃又は料金の支払のために使用することができるもの
ニ 有料の道路の料金の支払のために使用することができるもの
古物に含まれない「大型機械類」とは、以下に掲げるものをいいます。
- 船舶(総トン数二十トン未満の船舶及び端舟その他ろかいのみをもって運転し、又は主としてろかいをもって運転する舟を除く)
- 航空機
- 鉄道車両
- コンクリートによる埋め込み、溶接、アンカーボルトを用いた接合その他これらと同等以上の強度を有する接合方法により、容易に取り外すことができない状態で土地又は建造物に固定して用いられる機械であって、重量が一トンを超えるもの
- 前各号に掲げるもののほか、重量が五トンを超える機械(船舶を除く)であって、自走することができるもの及びけん引されるための装置が設けられているもの以外のもの
古物営業の種類
古物営業には、古物商、古物市場、古物競りあっせん業があります。
- 古物商
古物を売買し、若しくは交換し、又は委託を受けて売買し、若しくは交換する営業であつて、古物を売却すること又は自己が売却した物品を当該売却の相手方から買い受けることのみを行うもの以外のもの - 古物市場
古物市場(古物商間の古物の売買又は交換のための市場をいう)を経営する営業 - 古物競りあっせん業
古物の売買をしようとする者のあつせんを競りの方法により行う営業
古物商の許可
古物商を営むには、営業所が所在する都道府県ごとに都道府県公安委員会の許可を受けなければなりません。営業所がない場合にあつては、住所又は居所によります。複数の都道府県に営業所を置く場合は、それぞれの都道府県公安委員会の許可を受けなければなりません。
許可の基準
法に定める欠格事項に該当する場合は許可を受けることができません。
管理者
古物商は、営業所ごとに、その営業所に係る業務を適正に実施するための責任者として、管理者一人を選任しなければなりません。
法に定める欠格事項に該当する人は管理者になることができません。
古物商の営業
古物商は、その営業所又は取引の相手方の住所若しくは居所以外の場所において、買い受け、若しくは交換するため、又は売却若しくは交換の委託を受けるため、古物商以外の者から古物を受け取つてはなりません。
古物商は、行商をし、又は競り売りをするときは、許可証を携帯していなければなりません。
行商とは、古物商が営業所以外の場所で行う古物の取引をいいます。行商を行なう場合は、許可申請時にあらかじめその旨を届けておかなくてはなりません。行商は、上の「取引の相手方の住所若しくは居所以外の場所」での取引を含むものではありません。相手方の住所等または古物市場での取引などが該当します。
競り売りは、複数の相手に価格を競争させて行うもので、いわゆるオークションです。古物商が一時的に競り売りを行なう場合には届出が必要です。
確認等
古物商は、古物を買い受け、若しくは交換し、又は売却若しくは交換の委託を受けようとするときは、相手方の真偽を確認するため、次のいずれかの措置をとらなければなりません。
- 相手方の住所、氏名、職業及び年齢を確認すること。
- 相手方からその住所、氏名、職業及び年齢が記載された文書(その者の署名のあるものに限る。)の交付を受けること。
- 相手方からその住所、氏名、職業及び年齢の電磁的方法による記録であつて、これらの情報についてその者による電子署名が行われているものの提供を受けること。
- 上に掲げるもののほか、これらに準ずる措置としてべつに定めるもの
ただし、次に掲げる場合は、確認等の措置をとるべき場合から除外されます。
- 対価の総額が一万円未満である取引をする場合
- 自己が売却した物品を当該売却の相手方から買い受ける場合
なお、1については、次の古物は除外されます。
- 自動二輪車及び原動機付自転車(これらの部分品(ねじ、ボルト、ナット、コードその他の汎用性の部分品を除く)を含む)
- 専ら家庭用コンピュータゲームに用いられるプログラムを記録した物
- 光学的方法により音又は影像を記録した物
- 書籍
帳簿等の記載
古物商は、売買若しくは交換のため、又は売買若しくは交換の委託により、古物を受け取り、又は引き渡したときは、その都度、次に掲げる事項を、帳簿等に記載をし、又は電磁的方法により記録をしておかなければなりません。ただし、上に掲げる確認等の措置をとる必要がない場合、及び当該記載又は記録の必要のないものとしてべつに定める古物を引き渡した場合はこの限りではありません。
- 取引の年月日
- 古物の品目及び数量
- 古物の特徴
- 相手方(べつに定める古物(自動車)を引き渡した相手方を除く)の住所、氏名、職業及び年齢
- 確認等の措置の区分(及び方法)
上にいう記載等の必要のないものとしてべつに定めるものは、次に掲げる古物以外の古物です。
- 美術品類
- 時計・宝飾品類
- 自動車(その部分品を含む)
- 自動二輪車及び原動機付自転車(これらの部分品(対価の総額が一万円未満で取引されるものを除く)を含む)
古物の取引に当たっては、相手方の確認を行なうことと取引の記録を残すことが求められますが、上記のように、扱う古物によって、また、買い取る場合と売却する場合とで扱いが異なりますので注意が必要です。