起業と営業許可について

起業の準備

事業を始めるときまず検討しなくてはならない事柄として、①人材・スタッフ、②商材・サービス、③資金が挙げられます。言ってみれば事業に欠かせない血と肉であって、どれを欠いても事業は成り立ちません。これらは事業を立ち上げる前提ですから、起業の計画はほかでもないこれらを用意するところから始まると言っていいでしょう。そして、これらのすべてが調って事業の見通しが立ったとき、事業のベースグラウンドとしての店舗や事務所を探すことになるでしょう。

もう一つのテーマとして、事業の内容によって営業の許可などの手続きが求められる場合があります。そうしたライセンスが必要な事業を立ち上げるに当たっては、多くの場合、ライセンスに必要な条件が設定されていますから、まずそれを前提にしてすべての計画を進めるようにしなくてはなりません。

許認可を考慮する

許認可というのは広い意味では、役所などに行なう申請・届出などの手続き一般を指しますが、起業に当たって留意しなければならないのは、事業を営むのに必要なライセンスです。通常は営業の許可といったりしますが、分野によって、認可や登録などいろんな呼び方があります。紛らわしいので、ここでは単純化して営業のライセンスという用語で統一しておきますが、事業を始めるに当たってまず念頭に置かなくてはならないのはこのライセンスです。これをうやむやにしたまま事業を立ち上げようとして壁にぶつかっては元も子もありません。

営業ライセンスの取得

ライセンスの要らない事業というのを数えるのに苦労するほど、今日ではあらゆる営業にライセンスが伴います。それも簡便な届出で済むものがある一方で、細かい要件が定められたハードルの高いものもあり、業種によってさまざまです。例えば、ライセンスの取得に際してクリアしなければならない条件には次のようなものがあります。

  • 専門性の高い業種では、その仕事に携わる人に必要な専門的な知識や技能を備えることを示す特別な資格が求められることがあります。
  • また、そういう専門的な資格ではなく、営業を管理するなどの職掌的な任務を帯びた特別なスタッフを選任しなければならない場合もあります。
  • 商材・サービスの適正な管理を行なうために、その施設・設備について一定の条件が求められる場合があります。
  • あるいは、店舗を設ける場合に、その場所について事業の性格や地域の必要から規制が設けられていることがあります。
  • 事業を営む主体については、ほとんどの分野で法人、個人どちらでも認められています。ただ一部の分野で、法人であることがライセンスの要件として定められている場合があります。
  • 金銭的な信用が必要とされる営業だと、当然ある程度の資金の用意があることが求められます。

行政書士の仕事

ライセンスにまつわるいわゆる許可要件はこのように複雑多岐にわたります。もちろん業種によってその難易度は異なりますが、ライセンスを要する事業を立ち上げようとするときは、あらかじめ、そのライセンスの取得のために必要な要件をチェックし、それをクリアできる見通しを立てなくてはなりません。

前述の例で明らかなように、多くの場合、これを後回しに準備を進めることはほぼ不可能です。必要なスタッフや資金が許可要件によって定められている場合がありますし、店舗を探すのにも、その構造や立地について、許可要件の妨げにならない物件であることを事前に把握しておく必要があります。

こうした行き違いを生じさせないためには、立ち上げようとする事業にかかるライセンスの要件や規制内容をあらかじめよく理解したうえで、着手するよう気をつけるべきでしょう。

行政書士は、官公署への申請届出や個人の権利義務・事実証明にかかる法務の専門職として位置づけられますが、その業務の主要な部分は許認可をめぐる行政上の手続きにあるということができます。

事業の成功のためにこうした法制度への対応はおろそかにできないものですから、とりわけ営業に係る許認可の手続きについては、行政書士の活用を選択肢の一つに加えていただければ幸甚です。