薬機法営業許可の実務

薬機法に規定する営業の分類

薬機法の許認可事務は医薬品から医療機器まで複数の業種が含まれ、製品にかかる規制などもあって一通りではありません。このページでは、各業種の営業許可について、その骨子を手続きの流れに沿ってまとめておきます。

薬機法にもとづく営業のためのライセンスについては、許可、登録、届出があります。許認可を行なう行政庁については厚生労働大臣と都道府県知事があります。ただ、実務上は、厚生労働大臣の許可等は都道府県知事が事務処理を行なうようになっています。また、都道府県知事の許可とされているものの多くで、保健所設置市(政令指定都市や中核市など)と特別区については市長及び区長の許可とされています。つまり、申請の実務はこの二つの流れがあり、次のような構図になります。

  • 厚生労働大臣の許可(実務は都道府県知事)
     医薬品、医薬部外品、化粧品、医療機器、体外診断用医薬品、再生医療等製品の製造販売業
     医薬品、医薬部外品、化粧品の製造業
     医療機器修理業
  • 厚生労働大臣の登録(実務は都道府県知事)
     医療機器、体外診断用医薬品、再生医療等製品の製造業
     医薬品、医薬部外品、化粧品の保管のみを行なう製造業
  • 都道府県知事(保健所設置市、特別区についてはその長)の許可
     薬局、医薬品店舗販売業
     高度管理医療機器及び特定保守管理医療機器の販売業・貸与業
  • 都道府県知事の許可
     医薬品配置販売業、医薬品卸売販売業
  • 都道府県知事(保健所設置市、特別区についてはその長)への届出
     管理医療機器の販売業・貸与業

手続きの要領と流れ

営業に関わる手続きは、何はともあれまず法律が定める許可の基準をよく把握して、それに沿った組織づくりや環境の整備を行なうことが基本になります。

薬機法の場合は、人の生命や健康に関わる業務ですから、製造面での品質や安全性の確保などの主旨から定められた基準があります。当然ですが例えば医薬品と医療機器では製品の性質が異なりますから、業種によって基準の内容にも相違する部分がありますが、基本的には法律の目的・趣旨に沿った内容になります。

以下にそれぞれの基準等の骨子を掲げます。それぞれの詳細については、品目ごとのべつの記事で扱うことにします。

1.各種基準等への対応

営業の種類によってその営業の内容に応じた基準が定められ、許可の要件とされています。大別すると、事業者の組織体制や運営要領について定めたものと事業所の構造設備について定めたものがあります。また、製造販売業者は、製品を市場に出荷する事業者として大きな責任を負いますから、その製品の品質や安全性を適切に確保するための対応が求められています。以下にこれらの基準等をリストアップしておきます。

  • 医薬品、医薬部外品、化粧品及び再生医療等製品の品質管理の基準に関する省令
     医薬品、医薬部外品、化粧品及び再生医療等製品の品質管理業務の要領を定めたもので、GQP省令と呼んでいます。製造販売業者はこの基準に従い品質管理業務手順書を定め品質管理業務を行ないます。

  • 医療機器及び体外診断用医薬品の製造管理及び品質管理の基準に関する省令
     医療機器及び体外診断用医薬品の製造販売業者が行なうべき製造管理及び品質管理の基準を定めたもので、QMS省令と呼んでいます。製造販売業者はこの基準に従い品質管理監督システム基準書を定め、製造管理及び品質管理業務を行ないます。

  • 医薬品、医薬部外品、化粧品、医療機器及び再生医療等製品の製造販売後安全管理の基準
     医薬品、医薬部外品、化粧品、医療機器及び再生医療等製品の製造販売後安全管理の要領を定めたもので、GVP省令と呼んでいます。GVP省令は、製造販売業者を次のように区分して、この区分に応じた製造販売後の安全管理の基準を定めています。製造販売業者は、この基準に従い製造販売後安全管理業務手順書を定め製造販売後安全管理業務を行ないます。
    ・第一種:処方箋医薬品、高度管理医療機器及び再生医療等製品の製造販売業者
    ・第二種:処方箋医薬品以外の医薬品、管理医療機器の製造販売業者
    ・第三種:医薬部外品、化粧品及び一般医療機器の製造販売業者

  • 医薬品及び医薬部外品の製造管理及び品質管理の基準に関する省令
     医薬品、医薬部外品の製造管理及び品質管理の方法を定めたもので、GMP省令と呼んでいます。GMP省令は医薬品、医薬部外品の製造業者に求められる基準であり、医薬品及び医薬部外品製造業者はGMP省令に基づく手順書を備え、製造管理及び品質管理を行ないます。
     また、医薬品、医薬部外品、化粧品の承認を受ける場合は、製造所がGMP省令に適合することが承認の要件に加えられていますので、承認申請を行なう製造販売業者も対応しなければならない基準です。
     なお、再生医療等製品の製造管理及び品質管理の基準に関する省令(GCTP省令)が再生医療等製品の製造業者に求められる基準として定められています。

  • 薬局等構造設備規則
     製品の製造や保管を行なう事業所の設備環境についての基準として定められたもので、薬局、医薬品の販売業、医療機器の販売業・貸与業及び修理業並びに再生医療等製品の販売業の構造設備に関する基準と医薬品、医薬部外品、化粧品及び再生医療等製品の製造業の構造設備に関する基準を定めています。これらの製造業者が許可等を受ける場合に満たさなくてはならない基準となります。
     なお、医療機器の製造についてはQMS省令に従うことになります。QMS省令に基づく品質管理監督システムは製造販売業者が制定しますが、医療機器の製造工程にも適用されるものなので、製造委託を受ける製造業者もこのQMSが適用されます。

  • 薬局並びに店舗販売業及び配置販売業の業務を行う体制を定める省令
     薬局、医薬品店舗販売業、医薬品配置販売業の業務を行なう体制に関する基準を定めています。薬局等はこの基準に従い業務の体制を定め、かつ必要な措置を講じなければなりません。

2.責任者等について

それぞれの業種によって次のような人員を配置することが求められています。それそれについて資格要件が定められていますので、それを満たす人を選任する必要があります。業種ごとの各責任者については同一事業所内での兼務が認められる場合もあります。なお、便宜上まとめて書いていますが、それそれの資格要件は業種に応じて異なります。

  • 医薬品、医薬部外品、化粧品、再生医療等製品の製造販売業
     全体を統括する総括製造販売責任者と品質保証部門に品質保証責任者、安全管理部門に安全管理責任者
  • 医療機器、体外診断用医薬品の製造販売業
     全体を統括する総括製造販売責任者と品質保証部門に国内品質業務運営責任者、安全管理部門に安全管理責任者
  • 医薬品製造業
     製造管理者及び製造所の規模等に応じ責任者
  • 医薬部外品製造業
     責任技術者及び製造所の規模等に応じ責任者
  • 再生医療等製品製造業
     製造管理者及び製造所の規模等に応じ責任者
  • 化粧品製造業
     責任技術者
  • 薬局
     管理者(薬剤師)
  • 医薬品店舗販売業
     店舗管理者
  • 医薬品配置販売業
     区域管理者
  • 医薬品卸売販売業
     医薬品営業所管理者
  • 高度管理医療機器等販売業・貸与業
     高度管理医療機器等営業所管理者
  • 管理医療機器販売業・貸与業
     特定管理医療機器を扱う場合、特定管理機器営業所管理者(機器によってそれに代わる者あり)

3.欠格事項

営業の許可や登録の必要な業種については、申請者(申請者が法人であるときは、薬事に関する業務に責任を有する役員を含む)が該当すると許可や登録を受けることができない事項が定められています。許可や登録の取り消し、禁錮以上の刑、薬事関連の法令違反などがあって一定年数を経過していない場合などに加え、麻薬、大麻、あへん又は覚醒剤の中毒者などが含まれています。これらは業種に関わりなくほぼ共通の欠格事項になっています。

申請手続き

厚生労働大臣の許可や登録(事務処理は都道府県知事)が定められている製造販売業や製造業などの業種については、原則として厚生労働省が提供するFD申請システムを利用することになっています。申請用ソフトは専用のウェブサイトから入手できます。現状では申請ソフトで作成した申請書とCD等に格納したデータに別紙の添付資料を添えて都道府県知事に提出するといった流れになります。

許可・登録については納付すべき手数料が定められていますので、それも申請時に用意することになります。

なお、製造販売業者は許可を受けた後に、自社製品を開発し市場に提供するために製品の承認・認証・届出の手続きを行なわなくてはなりませんが、これも原則FD申請によることとされています。これは一部を除きもっぱら独立行政法人医薬品医療機器総合機構が窓口になり、手続きの種類によって要領も異なりますので、ここでは省略します。