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特別用途食品と保健機能食品

日本の法制度上は、サプリメントを一括りにして、基準や規制を定めたものはありません。サプリメントそのものが、日本語では栄養補助食品と説明されていたりしますが、境界のはっきりしない漠然とした名称というしかなさそうです。

ただ、健康の増進や栄養の改善を図るための施策の中で、特定の基準に達したものを公的に認知する制度はあります。すなわち大きな区分でいうと、健康増進法に基づく特別用途食品と食品表示法・食品表示基準に基づく保健機能食品で、次のような構図になります。

  • 特別用途食品
  • 保健機能食品……特定保健用食品、栄養機能食品、機能性表示食品

そして、多くのサプリメントのなかには、上記の制度に定める許認可などの手続きを踏んだ製品として流通しているものが少なくありません。いうまでもありませんが、ここに示した名称は法律で示す基準などに適したものとして認められた食品が表示できるので、そうでない食品が勝手にそれを表示して販売することはできません。

細かいことは煩雑になりますので、あらましだけ見ておきます。

まず、健康増進法では、次の特別な用途を持った食品について、内閣総理大臣(実務は消費者庁長官に委任)の許可を受けて、特別用途食品として販売することができるとしています。特別用途食品については消費者庁長官の許可を受けた旨を示す特別用途食品マークが定められています。

  • 授乳婦用
  • えん下困難者用
  • 特定の保健の用途

次に、食品表示基準に規定する保健機能食品は次のようなものです。

  1. 特定保健用食品
    これは前記健康増進法で定める「特定の保健の用途」に該当する食品とされています。従って、許可の対象であり、定められた審査を経て許可を受ける必要があります。いわゆる「トクホ」で、特定保健用食品についてはトクホマークが定められ、許可を受けた製品に表示されています。
  2. 機能性表示食品
    「疾病に罹患していない者に対し、機能性関与成分によって健康の維持及び増進に資する特定の保健の目的が期待できる旨を科学的根拠に基づいて容器包装に表示をする食品」とされていて、表示する内容が規定され、それらを販売前に消費者庁長官に届け出てこれを表示することができます。
  3. 栄養機能食品
    商品表示基準の中で、「栄養成分の補給を目的として摂取をする者に対し、当該栄養成分を含むものとして」その機能を表示する食品です。ここにいう栄養成分については基準の中で具体的に列記されていて、行政庁による認可などは定められていませんが、表示できるのは指定された成分のみで、表示の方法が基準によって規定されています。表示できる栄養成分は以下のとおりです。

    n-3系脂肪酸(α-リノレン酸、EPA、DHA)、亜鉛、カリウム、カルシウム、鉄、銅、マグネシウム、ナイアシン、パントテン酸、ビオチン、ビタミンA、ビタミンB1、ビタミンB2、ビタミンB6、ビタミンB12、ビタミンC、ビタミンD、ビタミンE、ビタミンK、葉酸

食品は人が直接体内に入れるものですから、その管理には十分な配慮が必要なのはいうまでもありません。とはいえここには事業者による自主的な品質管理と行政による規制の折合いをどうつけるかという難しい問題もありそうです。たとえば、食品を扱う事業者が、食中毒等の細菌による汚染や異物混入などの懸念に対処するための工程管理などを定めた衛生管理の国際的な手法としてHACCP(ハサップ)がありますが、それは国内でどの程度普及しているのか、それといわゆるサプリメントについてはそれが適用されるのかどうか、現状を承知していませんが、今後重要度は増して行くのかもしれません。